日々常套句

2003年からホソボソと「退屈に関する思索」を亀の歩みで行う退屈研究ブログ(自称)です

日本退屈愛好協会

「退屈愛好」で検索していて見つけた集団、日本退屈愛好協会。その首謀者と思われる大黒秀一氏(肩書:退屈愛好家、年齢は当方と同じく1969年生まれな模様)の「転がる日本にバカ満ち足りて」を購入。同書の冒頭の言葉が、著者が何故に「退屈を愛好するのか」についてのマニフェスト(宣言文)のように思えたので、以下に引用してみます。


人は皆、刺激を求めて生きがちですが、

刺激は一瞬で消費されてしまう、

虚しいものでしかありません。刺激を求める人生など、

虚栄以外の何物でもないと断言しましょうぞ。

そう、人生の大半の時間は退屈なのです。

その退屈から逃避することなくむしろ

退屈を追求しようというのが本書の趣旨でございます。

退屈は永遠に至る光りなり。



大黒秀一著 「転がる日本にバカ満ち足りて」 WAVE出版 (2003年5月)

同書の内容は、「びわ湖タワー」のような廃墟寸前の遊園地や、「ふれあい下水道館」のように楽しみようの無い展示館等、一般的にはどうにも退屈せざるを得ない場所を、わざわざ訪れレポートする中で、商業主義的に仕掛けられた方法で「ブロイラーのように余暇を彷徨う人々」の考察等を織り交ぜつつ展開する感じ (= ちょっと視点を変えることで見つかる「日常の隙間」を堪能することで、自分なりに「退屈」と向き合うという生き様の提案でもある)。

表層的には「コーネリアスの惑星見学」都築響一「ROADSIDE JAPAN―珍日本紀行」のように、珍奇なものを見つけては楽しんでいるように見えるけど、根幹の部分がなんだか違う気がする。その辺り(退屈の哲学)は、著者もまだ模索中なのだろうと思うけど、狙いどころはなんとなく頷ける感じだった。