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日々常套句

2003年からホソボソと「退屈に関する思索」を亀の歩みで行う退屈研究ブログ(自称)です

私の音楽史(4):Lo-Fiそれは持続低音

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シリーズ私の音楽史、第四弾は「4AD」で行く予定だったのだが、何故か急遽気分が Lo-Fi になってしまったので気の向くままに予定変更。ところで、Lo-Fi といっても、それこそキャロライナー・レインボーみたいな「衝動準拠直滑降」なハチャメチャなものから、JANDEK のような「窓のない部屋で独り白昼夢」なアシッドフォーク残党、或いはルー・バロウのように「歌心満載」だがしかし「メソメソ系」まで、音楽的には多岐に渡るのだが、何故か90年代中頃のその当時、そのカテゴリーは Lo-Fi の一言で括られていた、のだった。

そこに強いて共通性を書きだすとしたら、それはきっと「4TRレコーダーでの宅録」特有の「音質面での Lo-Fiさ」ぐらいなのかもしれない。で、僕は当時「あぁ駄目だなぁ、ホントに駄目だ」って感じの「メソメソ系」の方が好きで、特に以下のようなCDを愛聴していたのでした。がこれらの音楽、アメリカ特有の虚無と退屈を反映してか、「メソメソ」と言いつつ「とてつもなく深い暗闇」がぽっかり開いていて、しかもメンタリティの持続低音とも言うべき地下水脈には「水分ゼロ」で、とにかく全体が空殻(カラカラ)なのである。んなもんだから、乾いた心に乾いた風が吹き込むように、とにかく感情成分の分泌が多く「ぐったり」してた当時は、感情ゼロでボケーっとできて、なんだかとても心地よかったのだ。

で、振り返って今、これらの音楽をひっぱりだして聴いてみても、やっぱり基本的な感じ方に変化はなくって、虚空に向けて「見えない竹槍」を突き上げるかのような「Hi-Fi野郎」になるのは、まぁどんなに偽っても無理があるし、相変わらず無理するとすぐにグッタリくるのは、変わらんなぁ、などと考えつつ、ダラダラこんな文章を書き連ねている訳でした*1


Palace Brothers「Days in the Wake」

Palace 関連は全て素晴らしいので、どれも大好きなのだが、中でもこのアルバムが一番シンプルで、アメリカの郊外の一室で独り白昼夢を紡ぐ感じがストレートに出ている気がする。基本的に歌は常にヨレヨレで、虚空に向け囁くように発せられたその音は、退屈を纏った世界の果てのその部屋で、そのアンビエンスに紛れてゆく

ASIN:B0000019Q4

Lou Barlow「A Collection Of Previously Released Songs」

セバドーやセントリドー等など、当時やたらと量産していたルー・バロウだが、基本的に僕は、本人名義のこのアルバムが一番好きだ。ルーの場合は、なんかまだ「いろいろ」と生活や人生への執着が、残滓のようにメロディやその演奏に「へばりついて」いるので、グランジ系の人達ほど「過激に自分を解放」できなくてウジウジしている、その「中途半端さ」がなんだかとても「愛しい」感じなのだ。

ASIN:B000006SQE

Lee Ranaldo「Broken Circle」

Sonic Youth のリー・ラナルドのソロ1作目*2で、大半は美しいFBノイズの海なのだが、最後の一曲でセバドーの1st収録の名曲「Brand New Love」をカバー。で、これが本人達よりも200倍素晴らしいのだ。宅録特有のコモッタ音では表現できない、何と言うか N.Y界隈の「冷たくも寂寥とした空気感」を程よく盛り込んだ「大人なLo-Fi」なのだ。日頃サーストンやキムに比べて地味なリーだけど、僕は断然「リー主義者」です。

ASIN:B0000021NG

The Secret Stars「The Secret Stars」

宅録レーベルとして優良作品*3をリリースしていた Shrimperレーベルから96年にリリースされた男女混声Vo.な Lo-Fiユニットの1st。この辺までくると、後にスローコアと括られる音楽との区分けが難しいのだが(?)、これもアメリカ北部〜カナダな感じの「冷たくも寂寥とした空気感」に支配された Lo-Fi感がなんとも言えず、絡まった感情をゆっくりと解きほぐす感じ

ASIN:B000008T77

Kaia「Kaia」

とにかく5曲目の「16」が物凄く胸に熱くこみ上げてくる感じで、泣けてくる。彼女はレズでこの曲は別の女の子に向けて歌っている、みたいなのだけど、その辺のイカントモし難い「どうしょもなさ」が昇華され、こんなに素晴らしい音楽が生み出された、のだろう*4。とにかく、Lo-Fi という括り抜きにして、なんだかモヤモヤでグルグルしている人には是非聴いてもらいたい一枚。

ASIN:B00000219N

*1:本当はダニエル・ジョンストンやShrimper系の宅録カセットなど、他にも取り上げたいのは色々あるのだが、キリがないのでこの辺で・・・

*2:1stというのは違うかも、リーが立ち上げたレーベルからのリリース1作目だったかも。。

*3:初期はカセット中心のリリース

*4:アマゾンの試聴ではサビの直前で終了、ってなめてんのかコラ!!