日々常套句

2003年からホソボソと「退屈に関する思索」を亀の歩みで行う退屈研究ブログ(自称)です

自分に御褒美という言い訳に溺れ散財


2年ほど前にメディアファクトリー復刻版の 石ノ森章太郎 著「酔いどれ探偵 鉄面クロス」を購入して以来、その続編の「鉄面探偵ゲン」が欲しくて堪らなかったノでろりんが星人だったのだが、エイやの勢いで中古にて上下巻セット2000円也で購入。


で、この鉄面クロスの設定はこんな感じ、「警視庁の若き敏腕刑事・十文字 元は、罠にかかって二度と外すことができない鉄面をつけられてしまう。普段は精巧に元の顔を再現したリビングマスクを被り世間の目から逃れつつ、顔とともに平穏な人生を失った永遠の苦しみをほんの僅かの間忘れるためにひたすら酒を飲む。トレードマークの口元のイカゲソは、あまり喋らなくて済むように常に咥えているのだ。」というハードな設定ながら、表面的には、警視庁を辞め、ダラダラ朝から酒呑んで常に飄々と酔っ払っている十文字 元が、夜はおでんやの屋台を引きつつ、密かに私立探偵として難事件を解決してゆくという、なんとなくその酔いどれ探偵具合が、ジェイムス・クラムリーのハードボイルド小説「酔いどれの誇り*1」を彷彿とさせる展開。



 酒のいいところは"悩み"をわすれさせてくれるところだ・・・・
 それが、たとえ一刻とわかっていても!
 
 永遠の"悩み"を背負っているものには
 その一刻が、どれほど貴重なものか・・・・
 
 てな言い訳をしながら酒を飲む
 好きだから飲む、でいいじゃないの・・・・!
 
 とはいうものの、しかし・・・・
 
 石ノ森章太郎著 『鉄面探偵ゲン』第2巻199頁より


と言う訳で、この主人公が吐露するこんな台詞もこういう背景があればこそ、味があるのだ。しかし、こういう翳の苦悩を背負ったヒーロー*2を書かせたら石ノ森章太郎に敵う漫画家はいませんね、本当に、もう手放しで大絶賛。


しかも、石ノ森章太郎が書くヒロインが皆可愛いノですよ、本当に。氏が描く女性キャラクタに僕は、アシッド的な憧憬、もしくはサウダージみたいな、そんな感情を抱きます。フランソワーズ(009)やミツコさん(キカイダー)みたいな、母性と儚い美しさが微妙なバランスで成立している女性。或いはミヨッペ(イナズマン)やバカヤロこと みっちゃん (鉄面クロス)みたいな、お隣の幼馴染で男勝りで、「あぁ、そいえばいたなぁこんな娘」という具合に懐かしい感じなのだが、いざ探してみると絶対にいない、そんな女の子とか。ちなみに、僕の一番のお好みは、この鉄面クロスの「みっちゃん」*3なのです。


いやぁ、正月早々よい漫画を読んだものだ、と自己満足しつつ、明日から仕事だと酒を啜るのであった・・・
 

*1:ISBN:4150774021

*2:漫画版:仮面ライダーキカイダーロボット刑事、サイボーグ009、イナズマンリュウの道:三部作、ギルガメッシュなどなどその他沢山・・・

*3:鉄面探偵ゲンでは何故か「おタケさん」というヘンな名前に改名(泣)・・・