ディスク・レビューに挑戦−01(ロック雑誌系アジテーション編) *1
Michio Kurihara / Sunset Notes
元White Heaven(現 The Stars)の栗原ミチオの初ソロアルバムを、明日の発売日を待ちきれずに一日早く入手したのだが、何度も頭から繰り返し聴き続けたその結果として、目下その繰り返し回数は既に5順目になろうとしている。
この Sunset Notes という作品には、丹念に織り上げられた「幽玄の心象風景」が音楽という形式で抽象化されている。それは所謂、赤や緑の原色が織成す繁華街の看板やネオンサインと同義のような「過剰に注目喚起するサビのフレーズのみで構成される戦略的な音楽」=注目喚起力が高ければ高いほど、その「内装だけが絢爛なプレハブ立てのモデルルームのような薄っぺらさ」故に陳腐化し飽きられるのもまた早い=とは正反対の音なのだ。現在の日本の音楽界で一体誰が、日本固有の「幽玄の心象風景」を描き出すことができるものがいるだろうか。そう、それは栗原ミチオ以外に誰もいはしないのだ。
このような素晴しい作品が、殆ど入手が困難なインディレーベルで、ひっそりと世に生み出される、そんな現在の日本と言う国の文化的な軽薄さは目を覆うばかりである。そして斯様な我が国のメンタリティの帰結として失われた「幽玄の心象風景」の全てが、この永遠のようでありまた泡沫のように儚い42分33秒のその刹那的な音の発露の中に、隠されてあるのだ。願わくば、是非一度、どのような手段を講じてでもこのCDを入手し、我が国に残された最後の至宝に触れられん事を切に願うのみだ。
http://www1.odn.ne.jp/pedalrecords/top_2.html
Michio Kurihara
SUNSET NOTES発売記念live2005/04/08(fri) at 吉祥寺 Mandala-2
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http://www.mandala.gr.jp/