日々常套句

2003年からホソボソと「退屈に関する思索」を亀の歩みで行う退屈研究ブログ(自称)です

「敷居の住人」全巻読了


志村貴子の漫画は「どうにかなる日々」から読み始めた遅蒔き人間なのですが、この人の漫画は、めぞん一刻とか初期の保坂和志氏の小説のような、微妙なバランスで成立する「弛緩した」というか「結論が未来永劫先送りされ続けるかのような人間関係」が巧みに描かれていて、かなり好きな部類に入ります。

で、これまた遅蒔きながら代表作の「敷居の住人」をようやく全巻まとめ購入し、以降は流れるままに一気に読んでしまいました。

この漫画では、自らの欲望や気分を的確に把握できず+自分を持て余し気味の中高生の男女と、どこか煮え切らない駄目な大人ばかりが登場します*1。その中でも特に、キクチナナコというヒロイン(?)にあたる人物は、「自分持て余し度」が高い+「自分が本当に欲しいもの把握精度」がかなり低いため、表面的な言動が傍目には支離滅裂で、メチャクチャな人格のように見えるのですが、僕はわりとこういう人好きです。というか、20代の頃は特に「こういう種類の人」にグルングルン振り回された経験が何度もあるので、なんか遠い目をしてしまいました。といっても、別に何か達観できる程に「大人」になった訳でもなくて、単に歳とって体重が増えて体力が落ちただけなんですけどね・・・


敷居の住人 (1) (Beam comix) 敷居の住人 (2) (アスペクトコミックス) 敷居の住人 (3) (Beam comix) 敷居の住人 (4) (Beam comix)
敷居の住人 (5) (Beam comix) 敷居の住人 (6) (Beam comix) 敷居の住人 (7) (Beam comix)
 

*1:こういう人達を書かせると、志村貴子はピカイチだと思います