日々常套句

2003年からホソボソと「退屈に関する思索」を亀の歩みで行う退屈研究ブログ(自称)です

ちばあきお 読みきり作品入手


ちばあきお初期読み切り作品集「半ちゃん」と「校舎うらのイレブン」を昨日入手(喜)。ホクホクしながら満喫する。この「半ちゃん」は、後に「キャプテン」に出てくる「イガラシ君」の原型が登場したり、そもそも主人公の半ちゃんは、これまた後に「プレイボール」に登場するので、ある意味プロトタイプのような位置づけの作品なのだけど、読み切り短篇であるが故に、メッセージが伝わりやすく、またその短さ故に残される余韻が極上に素晴らしいのである。


僕が読み取ったトコロのものは*1、主人公の半ちゃんが、少年野球チームを作ろうと町内でメンバーを集めるのだけど、本人は野球が大好きだけど恐ろしく下手、その他の集まった少年達も「野球を楽しみたい人」や「強く、巧くなりたい人」と意識もバラバラと、まぁ完全に寄せ集め少年草野球団な訳です。

で、初試合でボロボロに負けた悔しさから、野球経験者でトテモ巧いイガラシ君をチームにコーチ兼選手として迎え*2、一応「勝利に向け」チームとしてひとつに纏まったかのような気分に皆はなる訳です*3。で、イガラシ君は、天才肌で中途半端が嫌いな性格故、たかが遊びの草野球にはシンドイ特訓が日々繰り返されることとなり、その結果として「楽しみたい派」と「強くなりたい派」で諍いが生じ、結局チームは分裂・解散してしまいます。その後のラストシーンでの半ちゃんの台詞が切ないです&物凄い余韻を残します。

その他の作品も、どれも独特の視点で人間世界を描く珠玉の短篇ばかりで、なんとなくこれまた大好きなブローティガンの詩とも短篇とも分類できない作品達との類似を感じてしまいました。なお、ちばあきおブローティガンも繊細すぎて、キラキラした時代の極北である1984年という時代に揃って、自殺してしまいましたが・・・


なお、ちばあきお 作品については下記のサイトが充実(感謝)
http://plaza.across.or.jp/~furano/captain/captain.html

また、毎度ながらこちらのレビューは素晴らしいです
http://www.interq.or.jp/orange/flow/manji/review/chiba-a/chiba-a.html
 
そして、下記の追悼文は本当に泣けます・・・
http://plaza.across.or.jp/~furano/captain/essei/tuitou02.html
http://plaza.across.or.jp/~furano/captain/essei/tuitou00.html
 

*1:というか、あらすじの解説になってしまった・・・

*2:イガラシ君は結末を予め見越して最初は固辞するのですが、皆に押し切られて結局参加するのです

*3:まぁそもそものメンバーの目的・意識のバラバラさ具合が「勝利」というキーワードでうまく先送り、誤魔化された訳ですな