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日々常套句

2003年からホソボソと「退屈に関する思索」を亀の歩みで行う退屈研究ブログ(自称)です

2007年の一枚 Lisandro Aristimuno / 39℃

music


Lisandro Aristimuno / 39℃

この作品、個人的には2007年かなり愛聴していたにもかかわらず「何故か言及なし」だったこともあり、年末最後の〆エントリーを口実にココで取り上げることにしました。で、購入はリンク先の神楽坂 大洋レコード でだったのですが、ここも割と「音が鳴る場所」でして、ここでスピーカーで試聴させてもらったところ、そのフワリとした浮遊感にココロ中空でメロ&メロと相成った結果、即購入でホクホクと我が家に急いだのでありました。

で、タイトル及びジャケ写真が示すように、音の方は「39度の高熱に冒された」状況による、日常から隔絶/遮断されベッドに幽閉されるという「アイソレーションタンクのような状況」、発熱で意識が朦朧とし「夢と現実を彷徨うような浮遊感」がコンセプトとのことで、一曲目から、まるでコーネリアスの「Music」のような独特な音の定位と広がりというか、96kHz/24bitの高解像度録音により「モワーっ」と朦朧とした空気感までもパッケージングしたかのような、独特の浮遊感があるのです。

で、曲のテイストは、夢と現実を行き来する「高熱で朦朧とした意識」さながらに、比較的バラバラなのですが、何故かそのような印象を全く受けないのは、曲調の変化が高解像度な緩やかなグラデーションのように「徐々に気づかぬうちに変化をとげている」からなのかもしれませんが、にしてもとても不思議なアルバムなのです。


ところで、ここでチョット年末っぽい蛇足をしてみますが、複製芸術の世界では、96kHz/24bitによる音の高解像度化及び5.1ch以上の音の定位の多様化というテクノロジーの進化を活用したDAW前提の次世代の作品群が、先述のコーネリアスの「Sensuous」以降で明らかに目に付くようになってきました。音楽複製/配布=再生環境における変化としては、実は「モノラルからステレオ」以降、大きな変化がなく「狭い音響定位の中での試行錯誤の繰り返し」が必然的に、分離分解性能が高いデジタル機器の発展を促してきたのではと思うのです。

しかし、この96kHz/24bitによる音の高解像度化及び5.1ch以上の音の定位の多様化はまぎれもなく「モノラルからステレオ」以上の劇的な環境/構造変化であると考えられ、個人的にはこれから登場してくる「意識の高い音楽」は、こうした構造/環境変化を有効活用してゆくことが期待されるので、早いトコ対応する再生装置の開発/普及を期待したいところ、なのですが、i-podのようなヘッドフォン(2ch/ステレオ)が主体の再生機器が主流の「この世の流れ」の中では、期待するのは難しい、のですかねぇ・・・