- アーティスト: ジョー・グリム,Joe Grimm
- 出版社/メーカー: Spekk
- 発売日: 2008/07/01
- メディア: CD
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ワルシャワのオビ解説にあった「ある特定の周波数の2音同士が干渉しあう時に、実音ではないゴースト・トーンが明確に響き渡る作用に焦点をあて作曲したもの」という煽り文句にピクピク反応して購入した一枚。しかし、聴いてみての印象はむしろレーベル元:SPEKKにあった本盤の英語解説の一文「The seed for this music was planted when I participated in one of Glenn Branca's 100-guitar symphonies」の方がしっくりくる感じ、なのでした。なんというか、静かな「ブランカ倍音劇場」というか、Alvin Lucierの「針金ビヨーン&ビヨーン交錯サウンド」を想起させる瞬間があったり、単音がトレモロ・パンで重畳的にオーバーレイして行くに連れ「意識を徐々に浮遊させてゆく感じ」がライヒに近い印象もあったり、まさしくアメリカ的な現代音楽の道筋にきちんとポジションしている音なのだなぁという感想だったのでした。
ヨーロッパ現代音楽の鬱蒼と重い単音倍音サウンド(例えばシェルシあたり)とは全然違う、数学/幾何学的なパターン配列の純粋な音響的探求というか、乾いた感覚が顕著であるというか、「一度世界が事切れて、荒野になったカラっからの大地」に突如芽を吹き出した「謎の植物」的な「突然変異感」が、何だかアメリカらしいなぁという、そんな印象の一枚なのでありました。で、なんというか、垂れ流して聴くもよし、集中して聴くもよしの、この分野では珍しい「気軽に聴ける名盤」として扱うべき一枚なのではないか、とそう思う次第、なのであります。
ということで、目標達成まであと64枚。