日々常套句

2003年からホソボソと「退屈に関する思索」を亀の歩みで行う退屈研究ブログ(自称)です

新譜100枚聴き倒れ〜第67回 Minisnap の巻


Minisnap / Whistler

しかし、媒体がCD等の物理メディアである限りは、その音楽が届く距離も相手の数も限定される。その昔、ノイズなんかの地下音源を購入する際には、LTD500とかLTD100って煽りがよくありましたが、まぁCD-Rとはいえ自分で100枚以上焼くのは至極面倒なので、限られたリソース(人と時間)で物理複製メディアを大量生産するのは、個人レベルでは「まだソコソコしんどい」のではないかと。さらに、流通となるとこれまた難題というか、90年代時点でもできることと言えば、インディに強いレコ屋にお願いしてメディアを置いてもらうとか、しかなかったのではないかと(そんなじゃ、全世界に展開なんてのは誇大妄想狂でしかなくって、たとえラッキーに恵まれたとしても下北の一部にしか届かない・・・)。

ところが、00年代以降の「ネットワークのブロードバンド化」と「データ圧縮/配信技術」の劇的な進歩により、物理メディアによる流通ではなく、データそのものによる流通が可能になり、時間と距離とそれに連関するコストも超越した「新しい流通形態」が顕在化している訳です。即ち、ここ数年普及著しいデジタル音楽配信により、簡便かつ低コストでそれらデータを販売(決済)することまでも可能になっている訳で、こうなってくると、圧倒的に流通する音源の絶対量は増えてゆく一方なのではないかと(論理的には、全世界のあらゆる時代の音源に簡単にアクセスし、入手することが可能である訳なのです)。