日々常套句

2003年からホソボソと「退屈に関する思索」を亀の歩みで行う退屈研究ブログ(自称)です

新譜100枚聴き倒れ〜第71回 Kylie Boombox の巻

ブームボックス~カイリーズ・リミキシーズ 2000-2009

ブームボックス~カイリーズ・リミキシーズ 2000-2009

こうした状況は、音楽の創り手側でも確実に認識されているようで、「ミュージシャンは自分で作品を作って、自分で管理して、自分で販売する。みんながインディーズだ*1というJOJO広重氏や、「プロとアマチュアの境目はなくなりつつある。マイスペースなどネット空間では素人も有名人もフラットに扱われる*2という坂本龍一氏の発言にあるように、音楽における既存の流通機構が「気が付いた時には、大きく変わっていた」ことがアーティスト側から明確に指摘され始めた。

そういう意味では、上に上げたカイリー・ミノーグのリミックス集なんかは、ネット上の無名の誰かが二次創作したマッシュアップとアイデアレベルでも、音質レベルでも大して相違がないようにも思えたりする(あ、この音盤はかなり楽しいし、個人的にツボなんでけなしている訳ではないです余)。

それはさておき、上記の二つの記事を改めて読むと、流石は二人とも80年代を駆け抜け、いまだ現役なアーティストだなぁと思うのだけど、この「みんなインディ」という状況を冷静に分析していて「大衆娯楽としての音楽」が喪失されただけで、それによって却って「自分が本当に創りたい/演奏したい音楽」を追求しやすくなった、という類いの発言をしているのは心強い。

*1:2008年01月24日付 JOJO広重BLOGより引用

*2:2008年12月18日付 asahi.com記事より引用