日々常套句

2003年からホソボソと「退屈に関する思索」を亀の歩みで行う退屈研究ブログ(自称)です

新譜聴き倒れ伍拾:第44回 EZEQUIEL BORRA の巻


EZEQUIEL BORRA / de todos los dias, las cosas del mundo

EZEQUIEL BORRA というアルゼンチンのエクスペリメンタル・ポップ職人の手による "de todos los dias" と "las cosas del mundo" という二つのタイトルで構成される二枚組のCD(全21曲)。自称カテゴリは「Melodramatic Popular Song」ナドとトボケたことをヌカしていますが、ブツブツ呟くようなか細い声とクリーントーンのギター爪弾きに様々な民族楽器/電子音/環境音などを組み合わせながら、かなりヒネクレた「ごった煮ポップス」を作っています。イメージ的には、マチュー・ボガード(フランス)の1st 辺りをもっと内省的にして、エレクトロニカ以降の音響使いを駆使して Ver.UP した感じといえば、いいでしょか。なんというか、英米のアーティストが「ごった煮」を行う場合に「過去のロックという枠」をどうしても超えられないで、微小な差異の狭間でもがいている感じがするのに対して、最近のアルゼンチンのアーティストは「グローバリズム」を「フォルクローレ」にハイブリッドに接続し「ごった煮」して化学反応を起こすことで、そうした枠/枷をあっさり超越した「新しい音」を次々に生み出していて本当に興味深いし、純粋に音楽としても素晴らしい&面白いのです(この作品は今年のベストアルバム次点の一つです)。

http://www.myspace.com/ezequielborra