日々常套句

2003年からホソボソと「退屈に関する思索」を亀の歩みで行う退屈研究ブログ(自称)です

指令05:Francois Bayle / Erospher の巻

こんにちわ「相方にブログを書かせて、はてな市民に戻ろう」のお時間です。いや、もう油断していたら、あっという間に一ヶ月が経過して、あと数日で「はてな市民権」が剥奪されそうなので、大慌てでの更新です(先月の冒頭挨拶のまさに完全なるコピペ状況)。そんな訳で、今回取り上げるのは、ミュージック・コンクレートの始祖 PIERRE SCHAEFFER が開設したとされるINA-GRM(フランス国立視聴覚研究所・音楽研究グループ)の親分を引き継ぎ、その手法をミュージック・アクースマティックとして発展させた偉大なる作家 FRANCOIS BAYLE の代表作「Erosphere」です。いや、もう正直なところ「現代音楽で一枚だけ愛聴盤を選べ」と言われたら迷わずこの一枚を高らかに掲げる程に長らく愛聴し、そして僕のリスニング耳に多大なる影響を与え続けている一枚、と言い切れる程に大切な一枚、なのであります。はてさて、そんな愛聴盤に対する相方の反応は、如何に?


【このアルバムを聴いた相方の感想】
これは宇宙の音?ジャケのせいか青い世界にぷかぷか浮いているみたい。サントラといってもいいような音楽だなあ。でも頭の中に繰り広げられるのは曖昧な、形にならない映像であって、けっして人が出てくるとか具体的なものではないのだ。聴いていて気持ちが良いというものともまた違って、頭の奥底の何かがうごめいているような不思議な感覚に包まれている。感覚的なのか理性的なのか、制御されているのか開放されているのか、そういう「よくわからなさ」を得たくて聴いてしまうそんなアルバム。

【相方の感想への依頼主のツッコミ】
ええ〜!?気持ちエエ「美しい電子音」に、「ビー玉のぶつかる音」とか「独楽が回る音」とか、こんなに「具象音響」が沢山溢れてる音響彫刻に「よくわからない」ってのは、ないですよ(泣)でも「曖昧な、形にならない映像」が脳裏に浮かぶってのは、なんとなく頷けるかも。それと「感覚的なのか理性的なのか、制御されているのか開放されているのか」ってのも同様に頷けるかも。実際、この作品には図形楽譜があって、こないだ入手したDVDでは「スクロールする図形楽譜にあわせて音が聴ける」ので堪能したんだけど、でもやっぱりソレは「音本来の音響的な力」に対する原始的な好奇心、或いは畏怖心というかを作品に封じ込めるための探究的な制御であって、音響が全ての行為から超越してる感じなんです余(なんて根)。そして、それらの超越的な音に気付き、それを音響彫刻として切断することに成功した深遠なる哲学者こそがベイルその人、なのです(なんて根)。