日々常套句

2003年からホソボソと「退屈に関する思索」を亀の歩みで行う退屈研究ブログ(自称)です

青山ブックセンター(通称:ABC)倒産


昨日 id:mohri さんのとこで知って、びっくらこいた。だって一昨日(15日)所用で六本木に行った際に、久しぶりだスなぁ、と立ち寄って少々お買物をしたばかりで、しかもそん時には何の告知もなかったので。。。それよりも何よりも、僕はかつて新宿のルミネ2店*1でバイトしてたこともあるので、なんかセツナイ感じだにゃぁ。そして社員の方々がどうなっちゃうのか、と心配になってしまった。


↓以下、思いつくまま垂れ流し駄文(画像は内容とは無関係でス)
 

そもそも僕がABCでバイトした動機は、本屋でバイトしたいけど、行きつけの店(当時は池袋リブロと渋谷パルコBC)でバイトするのはなんか嫌だったので、ABC辺りがまぁなんかいいかなぁ、という具合にまったく愛のない感じが契機でした。そして、面接で訪れた本社のオフィスが、ABCのオシャレなイメージとは正反対で非常に「胡散臭かった」*2ことは鮮明な記憶として今も残っています。そして、社員の給料は激安、労働時間は長い、万引き*3が目茶苦茶多くて売上にダメージ、みたく当時からあまりプラスの要素はなかったような気がします。

それでも、僕がバイト*4続けてたのは、社員とバイトの人達に面白い人が多かったのと、店内BGMのCDをスタッフ皆で持ち寄って、休憩室はさながら放課後の音楽談義みたいな空気で楽しかったこと、があります。ネオアコ好きな人がホント多かったんだよね、ABCって。そういう意味では、まさしく「楽しい音楽サークル」の部室みたいな、そんな風情ありました(以上回顧)。

で、なんかあちこちのブログや2ちゃんとか見てると、なんか「ABCの品揃えはヘボかった」という意見が多いですねぇ、ホントに。まぁ、確かに洋書は所詮「嶋田洋書」とか頼りだったし、僕の好きな文芸の品揃えはどうにも甘かった*5。その反面、これまたあちこちで指摘があるように、何故か秋田昌美根本敬の著書やペヨトル関連の品揃えが豊富だったりする、変なサブカル本屋でした。そして長所は、やはりデザイン系の品揃えが基本網羅的だったことと、意外にもビジネス書に面白い本が並んでいた、点でした。

やっぱり、閉店が相次いだWAVEといっしょで、マニアックさが「偏りすぎ」でマニアック層には「広く」届かず、かといってメインの購買者層には、漫画やオジサン系もこれまた偏りすぎな品揃えでアピールせずという「中途半端」さが敗因というところ、なのでしょうか。そもそも大型店でマニアックなものを流通というスキームが、費用対効果的に無理があったのでしょうね。なんだか、WAVEの盛衰と同じで先駆者は常に散リ行く感じで、悲しくなってきます。

そして最近、書店の棚(特に文芸)が呆れるほどに面白くない、のも気になります。だって、ネタ的には河出書房の「奇想コレクション」シリーズとか、SFマガジンが「スプロール・フィクション」という切り口で取り上げている作家など面白い小説あるのだけど、純粋「文芸」みたいな狭い垣根で括るから棚に活気がなくなるんだろうな(かとぃって、J-文学とか渋谷系文学ってのも安易で脱力しますが)

あぁ、どうなる出版界、どうなるコンテンツ産業。。。
 

*1:あ、間違えた、坂の下の方のルミネだからルミネ1の方だった。もう随分昔だからなぁ、と遠い目をして誤魔化してみたり

*2:というか、ABCの母体はもともと小田急とかの駅広告の代理店みたいなとこだったらしくて、僕がバイトしてた頃の店長さんも、ABC始める前の当時は広告営業とかしてた、みたいなこと言ってました

*3:万引きは職業的な万引きというか、高額の思想書とかが狙いうちされていて、棚の担当者が「読みたくてお金がないならまだしも、読みもしない愛のない輩に高額だからって万引きされるのが悲しい」みたいな感じで、本当に悲しそうな顔をしていたのが忘れられない。。。

*4:華やかなレジではなく裏方で、大量の検品と返本作業に明け暮れる日々でしたが

*5:まぁ、文芸や思想はリブロとパルコBCの品揃えが良かったので、敢えて競合しなかったのだとは思いますが