日々常套句

2003年からホソボソと「退屈に関する思索」を亀の歩みで行う退屈研究ブログ(自称)です

ドラッグとしての自転車:その反復


『ペダルを踏み続ければ、何かが変わると感じた。景色は流れ、僕の体は緩やかな円環運動を繰り返す。ペダルを踏み続ければ、何かが変わったと感じた。景色はその色を変え、僕の体は反射運動のみで維持される。思考や判断なんていう、パリっとしたシャツにギューッと締めたネクタイ、そんな風に自分の首をギュウギュウ締め付けるものまでもが、景色と一緒に流れ、反射運動の中にまぎれてゆく....』


上で引用した言葉は、かつて自分が書いていた小説の残骸からの一節なのですが、これってまんま先日の日記に書いたソニック師匠のお言葉「反復はドラッグを使わずに意識のレヴェルを変える、もっとも適切な手段なんだ」になんだか呼応する、なぁと思ったのでした。

他方で、これまた別の自作小説の残骸からの引用なのですが、移動による景色の移り変わりにも、ドラッグ的な作用があるのかなぁ、と。


『だからといって、旅をして、移動をして、何かから抜け出せるとでもいうのだろうか?周囲の景色の基本的な「気分」には何の変化もない。そう、無駄なのだ、この体をいくら物理的に移動させたとしても、ここにある、この精神は少しも変わりはしないのだから。素晴しい景色や、馴染みの無い環境、これらは、ちょっとしたドラッグにも似た働きをするのだろうか?少なくとも、精神的な重力がかなり低減することは確からしい。ドラッグというやつは、その効き目が切れた時には、現実の「重力」が通常の倍以上に感じられるようになっている。現実の「重力」には耐えられない「精神」になってしまうのだ。ちょうど、帰還した宇宙飛行士の「身体」のように....だから、そこから逃れるために再び服用する。ついには、依存症の如き様相を呈してくるのだ昨日の男のように.....』


最近自転車で散歩(距離100Km未満)したり旅行(GWの琵琶湖〜城崎走破)したりしてる中で、いろいろ感じることが多いので、ひとまず着想の備忘録的にメモ書きしてみました。。。