日々常套句

2003年からホソボソと「退屈に関する思索」を亀の歩みで行う退屈研究ブログ(自称)です

飽和状態、リセットには、この一枚


割合的に何故か5月とか6月は風邪でダウンすることが多い拙者、久々にやってきました風邪でダウン、ここ三日ほど部屋でローリング屍状態で、ボケーと音声無しNHK教育テレビを眺めています。しかも今回はなんだか飽和状態がもたらす空白希求なのか、音楽が全てキンキン・ベタベタした按配具合で、どれもコレもしっくり来ませんのです*1

で、ただただ、為すがままに「ぼけーっ」と、ヨダレ垂れたり目が醒めたりを繰り替えしていて「そいえば」と引っ張り出して、本日の昼下がりから延々ループさせて浸っているのが写真の ブラームス:間奏曲集 演奏:グレン・グールド なのですた。

この作品は、グールドの演奏の中でも僕が一番好きな作品で、そこには、何一つメロディとして認識できるフレーズがなく、また全体的に感情的な要素が微小というか、石庭に深々と降り積もる白い結晶が作り出す風景のような「絶対的な空」というか「静溢」さが支配しつつ。しかもそこには「冬の朝の寒さのような」つき刺す様な張り詰めたギリギリの緊張感が密かに漂うというか、通常の音楽とは真逆の「非注目喚起」的で、「テクスチャー/アンビエンス」的な演奏が展開されているのである。


※検索して見つけた同作品へのレビューを読んでいると、皆さんやはり墨絵のような凛とした静寂と張り詰めた繊細さを感じておられるように見受けられましたのでした。

http://d.hatena.ne.jp/huraibou/20040122/p1
http://www.geocities.jp/shumijinn/osusume.html
http://www17.ocn.ne.jp/~v-s-v/classical2.htm
 

*1:過去に同じテーマで書いたモノ http://www.kanshin.com/?mode=keyword&id=125639