日々常套句

2003年からホソボソと「退屈に関する思索」を亀の歩みで行う退屈研究ブログ(自称)です

下北沢再開発の裏事情って何だろうな?


過去に「シャロット・モデルと下北沢再開発」というエントリーを書いたのだけど、どうやら10/18に東京都及び世田谷区で「下北沢再開発地区計画に事業認可」がおりた模様。で、【海難記】 Wrecked on the Sea - 下北沢再開発地区計画に事業認可を読むと、世田谷区よりも先に東京都での認可がおりたということなので、なんでそんなに行政側は当事業をゴリゴリ進めるのだろうかと、不思議に思って、【海難記】で紹介されていた都市再生本部のサイトを漁ってみたら、こんな決定事項が公開されていたので、以下引用してみます。

I.密集市街地の緊急整備

 地震時に大きな被害が想定される危険な密集市街地(東京、大阪各々約6,000ha、全国で約25,000ha)について、特に大火の可能性が高い危険な市街地を対象に重点整備し、今後10年間で最低限の安全性を確保する。

(1)東京において、密集市街地全体を大きく貫く緑のオープンスペース機能を持つ連続した骨格軸を形成する。このため、環状六号線と環状七号線の間の未整備都市計画道路やこれに連なる公園や沿道の市街地等の整備を集中的に実施する。また、大阪においても同様に骨格軸の形成を図る。

(2)密集市街地のうち、特に大火の可能性の高い危険な市街地(東京、大阪各々約2,000ha、全国で約8,000ha)について、今後10年間で重点地区として整備することにより、市街地の大規模な延焼を防止し、最低限の安全性を確保する。

都市再生プロジェクト(第三次決定)より


上記を読んで、もしかしてと「密集市街地の緊急整備+下北沢」で検索したら、国交省のサイトに「平成17年度 都市再生プロジェクト事業推進費(事業分)実施計画一覧表」というPDFが存在していた*1。で、当該計画上で下北沢は「密集市街地の緊急整備」対象になっており、事業主体は東京都+国費も予算化されている。つまり、完全に国策で進められている、トップダウン事業であった、訳なのである。

どーりで、世田谷区相手に「あーだ、こーだ」やっても無駄だった訳、なのですな、と今頃気がつく間抜け野郎なボクがいたのでした。

つまり、東京都全体が大震災にあった場合>大火災の延焼防止、或いは各種避難/防災活動上の経路確保というマクロ的な観点が至上命題(=日本国全体の安全保障までを包括する論議)としてある以上、そこに「文化」だとか「景観」だとかという争点を持ち出してきても、視点がかけ離れすぎているため「まともな論戦」には、そりゃなりませんな・・・

うーん、今後この問題の論点につき、どう考えればいいものやら・・・