日々常套句

2003年からホソボソと「退屈に関する思索」を亀の歩みで行う退屈研究ブログ(自称)です

続:距離と時間を超えられえないモノ


思えば情報の流通と同じように、モノの流通もリアルタイム化「より速く(より遠くから)」への要求が絶え間なくエスカレートしているのが、現在の国内消費事情なのではないだろうか、と思うのです(直感的で乱暴な物言いです)。しかし、情報の流通に比べ、モノの流通は主要市場(都市圏/首都圏)へアクセスする経路の速さと太さ(高速/幹線道路網等)が殊更に重要なものと思います。

ところで、私が訪れた山陰の町は、背後(周囲三方)を山に囲まれ、前方には日本海が広がり、町の主たる領域は「町の左右に流れる二本の河」の河口に形成された「大きな中州」の上に展開されているという(つまり数本の橋を経由しないと、その中州へは進入できないという)、地政学的な条件としては、まさに「陸の孤島」「天然の要塞」と言っても過言ではない環境になっており、

そのため、外界とのネットワークである道路は、大雨や冬季の積雪/路面凍結によりは通行止めになってしまうし、鉄道網は言わずもがなな山陰本線(単線で列車の本数が非常に少ない+接続も良くない+中州の外周にしか駅がない)頼みであるという厳しい状況で、その「要塞的な性質」が災いして外部ならびに主要市場(都市圏/首都圏)へのアクセスについては、著しく厳しい状況なのであった*1


その結果故なのか、外界とのリアルタイム物流の象徴であるコンビニや大手チェーン店舗を町中であまり見かけることがなかったのだが、市役所が所在するレベルの町でのこのような光景は、離島以外であまり見かけたことがなかったので、非常に新鮮なのでありました。

しかし、このように物流という名の「外部からのモノの流入」のリアルタイム化/遍在化が損なわれている半面で、情報はネットやマスメディアを経由しリアルタイムに流入する訳で、リアルタイム化という現象に対してはモノと情報に関してアンビバレンスな状況が形成されている、非常に興味深いケースなのでありました。そして、その結果の一端として、モノについては必然的に「地産地消」とならざるを得ないという状況が作り出された、のではないかと思われるのです。

<またも、ココで昼休みが終了してしまったので、明日以降に続く>

*1:実際、東京から新幹線経由でアクセスしても約8時間程を要した