日々常套句

2003年からホソボソと「退屈に関する思索」を亀の歩みで行う退屈研究ブログ(自称)です

新譜聴き倒れ伍拾:第30回 Bobby and Blumm の巻

Everybody Loves

Everybody Loves

このアルバム聴くまでは、しばらくエレクトロニカというか、90年代の終り頃にはあれだけワクワクしていたMORR MUSICの存在を忘れていました。 というのも00年代中盤辺りにはエレクトロニカコモディティ化/飽和状態の手探り状況からか、シューゲイザーに近寄ったり、フォークトロニカとかと姿を変えたりとかという状況で、個人的には正直興味を失っていました。が、このアルバムは、もうエレクトロニカ云々ではなく、純粋に「次世代の音楽」として手放しで絶賛という感じで素晴らしいのです。何が次世代かというと、まず制作環境/技術の高解像度化ゆえに為し得る音というか、構成要素は声、クリーントーン・ギターの単音爪弾き音、そこに環境音/クリック/グリッチやエレピ/オルガン/グロッケン等が薬味的に薄〜く重なるというスカスカでピアニッシモな音なんですが、スキマを構成する無音が文字通り「データ的に無音」でヒスノイズ等がまったくないのに加えて、個々の音の存在感も高解像度な録音/編集環境ゆえに、非常にリアルというか「声がまとった空気感/振動までリアルに立ち上がる」とか「弦の振動が減衰して消えてゆく波形が脳裏に綺麗に浮かぶ」というか、なのです。繰り返しますが、00年代の制作環境の技術的進化を理解/吸収した上でないと成立しない「新しくて/素晴らしい音楽がここにある」という感じです。

http://www.myspace.com/bobbyandblumm