日々常套句

2003年からホソボソと「退屈に関する思索」を亀の歩みで行う退屈研究ブログ(自称)です

音楽とジャンル分けのお話


id:gotanda6師の『ニューミュージックという言葉は誰が考えたのか』のエントリーが興味深かったので、ちょっと反応。

http://d.hatena.ne.jp/gotanda6/20050213#newmusic


エントリー中の、ニューミュージックという言葉の誕生を例えて「ショッカーが組織変更してゲル・ショッカーにかわった」とする『歌謡曲完全攻略ガイド』からの引用ですが、これはカナリコブラに意味深でして、実は「ショッカー」から「ゲル・ショッカー」に組織変更がなされた際に、旧ショッカー構成員は幹部もろとも全て粛清されるなんてな、大事件が行われているのです。という意味では、文字面を正確に解釈しようとすると、新しい者が古い者を「貶める」以上に過激というか、ジャンルもしくはそこに属するアーティストを「抹殺」する、なんてな過激な左翼革命家的で旧ソ連共産党的或いは日本赤軍的な恐ろしい状況に「戦慄ぷるるん」な訳です(楽しいので必要以上に大袈裟に書いてみましたです)。

でも、ネオアコの記念碑的なアズテックカメラの walk out to winter でも「ジョー・ストラマーのポスターが剥がれ、痕には何もない」なんて高らかに皮肉られているように、ジャンル分けって、レコ会社のマーケティング的な意味合いだけでなく、演者側のラディカルな「目の上でタンコブって威張ってるヤツ死ね死ね」思想からも産まれてきたのでしょう、ねカツテは(そこに名前をつけるのがレコ会社や評論家だった、のが渋谷系前夜だったのかも)


他方で、音楽雑誌やレコ会社とかが完全にリスナーに追いつけてない状況は、間抜けな「ポストロック*1 *2」という括り方が象徴的なんだけど、その辺は佐々木敦さんのところに端的な記事があるので一部引用。いや、マジで「ポストロック」って意味不明だし、リスナーの間ではこの辺は物凄く細分化されてて、ここ数年ではスローコア、サッドコア、フォークトロニカ、エモコア、古くは音響派SCI-FI、LO-FI云々カンヌンと微妙な区分が成立しているところに、ヒトククリで「ポストロック」ですぜ、って「しらけちまうぜ〜」って感じで情けない。

「音楽のサブカルチャー化」が、実際的な効力を失ってきている、という点にある。ここ数年、複数のメディアによって闇雲に形成され、多かれ少なかれ資本によってバックアップされた「シーン」や「ムーヴメント」の磁場が、必ずしもマーケットでのプレゼンスに繋がってはいないという実状は、多少ともCDセールスに関わっている者なら誰もが知るところだ。

from "atsushi sasaki@faderbyheadz.com"
http://www.faderbyheadz.com/a-Site/a-news.cgi?date=2004.12.28


昨日取り上げた、L'altraの新譜は今回何故かビクターから出ていて、ムカついたのでわざわざアマゾンで輸入盤を購入したけど、これなんかも「ポストロックが今キテルらしいぜ」っていう勘違い具合というか、近年のレコ会社洋楽部の情けなさ万点具合を曝け出してるなぁ。もはや、リスナーの方がよっぽど先に行ってしまってる観がかなりある。だって、雑誌なんかよりも、ワルシャワとかの専門店やアマゾンの関連商品で探すほうがよっぽど「新しくてよい音楽」に出会えるからね、本当に。そういう意味ではマーケティングも流通もがらりと変わってしまった、のだろうな多分。

先日古本屋で購入した 宝島78年12月号特集「大研究!輸入レコード&ショップス 輸入レコードは新しいタウン・カルチャーだ」を読んでいて、輸入レコードがまだまだ一部の好事家の間でしか流通していない80年代前夜の状況と*3、90年代以降の輸入レコ屋の一般化ががらりと変えてしまった状況をひしひしと実感する次第。


その辺については、過去の下記のエントリの所感を参照
http://d.hatena.ne.jp/cliche/20040424


他方で、ジャンルに関するリスナー側のこんな反応もある

「ニュースクールHIPHOPのことをミドルと呼ぶDJ、リスナーが多すぎることについて」
http://mixi.jp/view_bbs.pl?id=498936&page=all

これとかは、「俺はリアルで聴いてたね」って感じの自負心というか微妙な選民思想みたいな感じで、楽しくないなぁ。俺もヒップホップはこの頃が一番熱くDMRに通って掘っていたので、解らないでもないけど、でもねぇロック親爺が若者を説教するみたいで、嫌だなぁこういうのは・・・


【追記】

ブリットポップってのも、未だに何なのか、よくわからない。カルチャーでもないだろうし(カルチャーだったらむしろマンチェでしょ)、音楽的な類似でもないし(ブラーとオアシスは全然違うし)、ポスト・ロックと並びなんのことやらサッパリわからん、ものの代表かもしれない。

*1:参照 http://www.listen.co.jp/sub1.xtp?parent=202

*2:参照 http://www.faderbyheadz.com/a-Site/a-news.cgi?date=2004.12.20

*3:当時はうちの親父とか、米国旅行する人に頼んで洋盤レコ手に入れてたみたいだし

浸透しなかった&記憶(歴史)から消えたジャンル


上のエントリーの関連で、そういえばジャンルとして浸透しなかった、或いは記憶(歴史)から消えたジャンルっていうのを思い憑くままに書いてみよう。


まず、筆頭が「ハッピーバレー」

ジャンルに含まれるバンドの共通点は、芸術系の学生で中流階級以上な甘ちゃん&坊ちゃんで構成されるU.Kバンドって感じで、代表格がライド、だったのですが、現在は完全にシューゲイザーに包含されてしまってます。


次が「ぽこちんロック」

80年代の日本インディの一部のバンドが属する具合で、なんとなくマジなパンクになりきれずに、自暴自棄というかやけくそ気味なオフザケに向かうシャイ具合(?)が一線を引かれていた感じで、代表格はアンジーや初期:筋少というのがわかりやすいところか(初期ブルーハーツもココに分類されるという説もあり)。


或いは、これは微妙だけど「ビートパンク」

スチャダラが初期におもっきし馬鹿にしてたので、音は知らなくても言葉は知ってる人は多そうだ。ある意味、初期渋谷系が目の敵にしてバカにしていたのが、この辺の80年代末からのバンドブームを謳歌してたよなバンド達で、ジュンスカとかが代表的か?タテノリのビートに一緒になって歌えるような分かり易いメロと歌詞って具合が特徴。

この他にもまだまだありそうだけど、ひとまずこの辺で・・・


【追記】

あ、あと「デス渋谷系ってのがあった、けど普及しなかった、なぁ。暴力温泉芸者とかエルマロとかが自分達で言い出したジャンルだったようなきもするけど・・・小山田君がフライングV持ってヘビーメタルサンダーとか演ってた頃だから94〜95年ごろ?