日々常套句

2003年からホソボソと「退屈に関する思索」を亀の歩みで行う退屈研究ブログ(自称)です

新譜100枚聴き倒れ〜第35回 Take の巻

EARTHTONES & CONCRETE

EARTHTONES & CONCRETE

スピリチャル系のジャズ直系というか、エレクトロニカを通過したヒップホップというか、「ビブラフォンの硬質で透き通った音」と「グリッチノイズ混じりのビートメーク」が象徴的な次世代型アブストラクト・ヒップホップ(あえてアンダーグランドとは書かない)。アルバム全体で18曲と曲数が多い割には、全体的に楽曲にわかり易い変化がないので「アルバムとしては地味な印象」も否めなくはないのだけど、新しい音を創り出そうとする意欲が「静かに漂う」名盤なのではないかと思いました(ワルシャワのサイトで試聴可能)。


これは直感なのですが、このアーティストに関しては、INA/GRM系のフランス現代音楽というか、ずばり Francois Bayle の影響下にある音なのではないかと思う瞬間が結構ありました。やはりサンプリングが難しい状況が、音響的探究心が強いアーティストをミュージック・コンクレートへと向かわせる下地を作っているのは、ほぼ間違いないのだろうなぁ、ということをつくづく思った次第なのであります。あと、LA出身のアーティストらしいのですが、なんというか90年代フランスのアブストラクト・ヒップホップを想起させる感じがしたので、上のような印象になったのかもしれません・・・