日々常套句

2003年からホソボソと「退屈に関する思索」を亀の歩みで行う退屈研究ブログ(自称)です

2016年の音盤探索模様を振り返る

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今年も 1月8日 に更新したきり、コチラの更新が放置の果ての「空き家」状態、もはや年間ベストアルバム的なエントリーだけを記録する場所になっておりますが、まぁ「それもよかろう」と、ものすごく久しぶりに「はてな記法」を思い出しながらこのエントリーを綴る47歳のオッサンな訳です。

という訳で、今年購入/聴取した2016年発売/輸入の新譜達をカウントしてみると…
英語圏17枚、日本語圏17枚、ブラジル・アルゼンチン圏9枚で計43枚。加えて、Apple Musicで聴いた新譜が155枚(購入したCDと重複あり)でした。ちなみに、アナログとカセットはきちんと仕分けしておかなかったので、カウント不能だけど、10数点ぐらいしかない筈(実はアナログでの購入には消極的で、アナログリリースしかない音源以外は基本的にCDを購入という感じで、なんとなく意地になってCDを購入していたので…)

そいえば、去年の暮れには『購入した音盤たちを眺めながら、実は「微妙な物足りなさ」というか「や、悪くないンだけどワクワクしない」気配というかをモヤモヤ感じていた年の瀬なのでありました』とか書いていたなぁとか思い返しつつ
commonplace.hatenablog.jp

実は、2016年は「ベストワン」とかを選びきれないほどに「期待感」や「満足感」を感じる音源が多くて、47歳のオッサンなりのカサカサ&枯れ具合で「新譜漁り」を続けてよかったなぁと思えた1年なのでありました。ということで、今年はそんな「期待感」や「満足感」を感じた音盤を10枚ほどピックアップしてみたい、と思う訳です

1. 満足感編

2007年の3rdから聴き始めたリサンドロ・アリスティムーニョ(アルゼンチン)もこのアルバムで通算6枚目。本作は「ゆるぎない世界観を確立したが故の安定感」というか、何度聴いても飽きがこない完成度というか、彼のキャリアの中で間違いなく「一つの区切り」ともなりうる名盤なのではと思うのです
参考: 2007年の一枚 Lisandro Aristimuno / 39℃ - 日々常套句
itun.es

お隣ブラジルのアントニオ・ロウレイロ周辺の流れからは、フレデリコ・エリオドーロの本作を選んでみた(発表は2015年だけど、輸入は2016年1月)
これも今年何度も繰り返して聴いていた音盤なのだけど、彼がベーシスト故なのか、リズムとメロディの構成にすごく立体感というか相互の組み合わせに緻密さがありつつ、スルスルと心地よく飲み干せる感じが稀有な気がしてトッテモお気に入りな一枚
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前作から聴き始めたSuuns(カナダ)の3rdアルバム
フィードバックギターや電子音の選び方やテクスチャー、そしてリズムの組み立てなどが本当にセンスがよくて、我が家では「当時から大絶賛」だったのだけど、(一部を除き)あまりキチンと評価されてないようで彼方此方を「バーカバーカ」と呪っていたので、本作でようやく評価が追いついてきたのが素直に嬉しい(完全なるオッサン目線…)
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kuruucrew(日本)の3rdアルバム
相変わらず高速かつ物凄い音圧で疾走するベースの存在感には圧倒されるのだけど、本作をライブで聴いてサックス(goatのメンバーでもある)が鳴らす音の重要性にも気づいたり。そして、nisennenmondai、goat、そして kuruucrew はグローバルに見ても特殊というか、稀有な音を鳴らすバンドなんじゃないかと、改めて感じ、同時代に生きていることをありがたく感じる次第なのでありました
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2. 期待感編

The Goon Sax(オーストラリア)の二十歳そこそこなデビューアルバム
なんだけど、ありがちな「好きな音楽を〜」組み合わせた「根無し記号羅列感」とは明らかに違う「天然素材」感に驚きつつ、プロフィールを見たら The Go-Betweensロバート・フォスターの息子って…しかも非常に良キャラなベースの「おデブちゃん」も自身のローファイ天然素材の活かし方を心得ている感じがあり、ドラムの女子と合わせて「三人揃って」の戦隊モノ的なフォーメーションの充実感というかというかが、本当に新人離れしていて驚愕!
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Peacock Affect(イギリス)も1996年生まれな「二十歳そこそこ」な青年
で、まだ bandcamp 他デジタルでしかリリースしてないけど、そのダウナー具合から比較されそうな「90年代のベッドルームで日記のように綴られたローファイ音源」達とは明らかに違うクリアで美しい音源に驚きつつ、彼がインタビューで語る "If I like a song I’ve written, I’ll release it. If I don’t, I won’t release it. It’s as simple as that.” という言葉になる程と頷いてみたり(これまたオッサン目線…)
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Carla dal Forno(オーストラリア)の1stソロアルバム
オッサンホイホイなジャケ買いを誘う素敵ジャケなれど、どちらかといえばソニック師匠(Spectrum)ばりに高価そうで純度の高い美電子音の波間にひんやりと醒めた歌声が鳴り響く、名盤電子サイケなのでありました。でも、ほんと電子音の鳴らし方がすごくセンスいいので、ジャケなし&目隠しで聴かされても間違いなく爆即で断&決して購入してました余(コレこれマタまたオッサン目線…)
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Klan Aileen(日本)、初のフルアルバム?
最初に聴いて、ギター(フィードバック)の音作りが「地に足ついてる」感があってセンスいいなぁと。源流にはゆら帝フォロワー的な要素がありそうなんだけど、案外と間接的に吸収した White Heaven 的な要素がその「幽玄感」に隠れ現れているような気もして、実はかなり気になっているバンドです(性懲りも無くオッサン目線…)
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Electric Electric(フランス)の3rdアルバム
ミニマルな電子音とドラムとギターの暴れ具合の渾然一体具合が最高にカッコよくて、前掲の Suuns と並びツボに入った一枚。彼らの存在を知らなかった自分のアンテナの低さを呪いつつ、ありがちな「あーこの音のルーツはねぇ」とかクソなオッサン発言をグッと堪えて、マゾヒステックに轟音に滝打たれ己の不甲斐なさを恥じ入るのでありました…
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HOLY WAVE(アメリカ)の4thアルバム
なんか「ホラーズとか好きでしょ、彼ら」的なクソなオッサン発言を跳ね返すぐらいに、これまたやはり「センスがよい」音色の作り方というか選び方というかをしていて、既視感なんて気にならないと断言できる一枚、だもんで「やぁこれ好きです、マジで」と恥とか外聞を気にせず宣言しちゃうのです、だってオッサンだから…
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3. 嬉しい一枚

John Cunningham(イギリス/フランス)の14年ぶりの新作(6th)!
ジョンカニ君がクラウドファンディングで新作リリースというニュースを知り、これまた「爆即で断&決」し、それから正座してフランスからの荷物を待った今年でしたが、待った甲斐がありました素晴らしいアルバムです(グダグダ書くのもアレなので書きませんが、何かに例えて表現などしなくてよいのです、だってこれは「ジョンカニ君の声と音」なんだから)。いや本当にもう、オッサンはとても嬉しいのです(そいえば、ジョンカニ君も69年生まれだからオッサン仲間)
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